アリババが提携するバーチャル・インフルエンサー、ヌーヌーリとは

中国最大のeコマース企業のアリババ(ALIBABA)は、同社が運営するECサイト「Tモール(Tmall)」の「ラグジュアリー・パビリオン(Luxury Pavilion)」のモデルとして、バーチャル・インフルエンサーのヌーヌーリ(Noonoouri)を起用した。同時に、コンテンツを充実させるためヌーヌーリの新しいモバイルゲームを立ち上げるなど、ユーザーとの更なる結びつきの強化を図っている。

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インスタグラムで30万9千のフォロワーをもつヌーヌーリは、コンデナスト(CONDENAST)が出版する中国版「ヴォーグ(VOGUE)」とも契約しており、ブランド服を身に着け、高級ハンドバッグを持って毎週さまざまな都市へと旅行している。

「ラグジュアリー・パビリオン」およびヌーヌーリとコラボレーションを行った最初のブランドが、英国の「マルベリー(MULBERRY)」だ。「マルベリー(MULBERRY)」は、‟My Localキャンペーン”の一環として8月22~24日に東京でワークショップやライブミュージックの音楽イベントを開催し、それに合わせて21~27日には新作バッグ‟アイリス(Iris)”のプロモーション用ポップアップストアも設けていたが、今回のコラボレーションではヌーヌーリが東京に‟現れていた”のだ。

オンラインユーザーたちは、ヌーヌーリとゲームをすることもできる。彼女のアウトフィットをコーディネートしたり、道中からの手紙を読んだりすることでポイントを獲得する。プレーヤーたちはそのポイントを使ってお買物券や限定バッグ、そしてトップ賞のために用意された新作バッグ‟アイリス(Iris)”を手に入れることもできる。

「ラグジュアリー・パビリオン」のリリ・チェン(Lili Chen)=ゼネラルマネジャーは、「若年層のラグジュアリー商品購入者たちがそれぞれのスタイルをシェアしたり、表現したりしながらプレーできるこの双方向型ゲームの開発は、『Tモール』のプラットフォーム上での消費者たちとブランドのより強い結びつきに貢献するだろう」と語った。

ヌーヌーリが生み出されたのは2017年末で、作成者はドイツのミュンヘンをベースに活動するグラフィックデザイナー、ヨルグ・ツバー(Joerg Zuber)だ。ヌーヌーリは19年のプレ・スプリング・コレクションショーで「ディオール(DIOR)」のインスタグラムに登場したり、「フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY DI LORENZO SERAFINI)」の19年プレ・フォール・ルックブックにも登場。「ヴォーグ・ミー・チャイナ(VOGUE ME CHINA)」やブラジル版「グラムール(GLAMOUR)」の表紙も飾るなど、幅広いブランドのクリエイティブプロジェクトに参加している。

アリババは昨年10月にリシュモンと提携し、中国人の消費者たちに向けてユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)の小売商品を展開するため、ジョイントベンチャーを設立。「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」と「ミスターポーター(MR PORTER)」のために2つのモバイルアプリをローンチすることを発表した。また、「ネッタポルテ」と「ミスターポーター」は「ラグジュアリー・パビリオン」にも出店する予定だ。

「ラグジュアリー・パビリオン」は、過去12カ月の間に数々の有名ブランドの出店を獲得してきた。現在、「シャネル(CHANEL)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「バーバリー(BURBERRY)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」を含む130以上のラグジュアリーブランドを提供している。

「Tモール」は来年3月までに、ラグジュアリーブランドの出店数を倍にしたいと語っている。

2020年春夏ミラノメンズ ド派手なネオンカラーで彩る80’sポップカルチャー

「ディースクエアード(DSQUARED²)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、1980年代のアメリカンポップカルチャーに着想を得た。舞台はニューヨークのアトリエ。モデルをシューティングしているカメラマンや、マッチョな男性をモデルに絵を描く画家の間を、ネオンカラーのカモフラージュ柄セットアップをまとったモデルが駆け抜けてゆく。当時活躍したアーティストたちにインスパイアされ、アイコンのテーパードデニムにはペンキを叩きつけたような加工を施した。キャンベルスープの缶詰やマリリン・モンローのイラストをパロディしたTシャツ、「ANDY」のロゴを配したスウェットなど、アンディ・ウォーホルのオマージュもたっぷりだ。
「80’s」「POP」「ART」といったグラフィティをのせたまばゆい蛍光ピンクやライムグリーンのアウターが、華やかな80’sスタイルを印象付ける。ステンカラーコートのポケットにはカラフルなシームテープを飾り、ベーシックなアイテムにもポップなアクセントが満載だ。オーバーサイズのシャツにワイドショーツ、「コンバース」風の厚底スニーカーを合わせるスタイルは、ヒップホップカルチャーを反映したもの。フィナーレに登場したデザイナーのディーン&ダン・ケイティンも、ネオンカモフラージュのジャケットにピンクのスリッポン姿でランウェイに登場した。

「モスキーノ(MOSCHINO)」のメンズが2020年春夏シーズン、ロンドンにやってきた。会場には、4ヵ月前のウィメンズ・コレクションで発表した、「マクドナルド」のフライドポテトをパロったiPhoneケース持参の若者が大集合。会場の後方から一生懸命に手を伸ばし、ショーの様子を携帯電話におさめようとしている。「モスキーノ」が、わずか半年で彼らのITブランドになったことを印象づけた。
20年春夏メンズも、パロディでいっぱいだ。一番驚いたのは、数々の有名ブランドのアイコンをパロった洋服の数々。たとえば、今シーズンのキーモチーフであるスマイルマークは、それぞれを90度傾け、2つの口をアルファベットのXを描くように重ねることで、“あの”ブランドのアイコンのように!!それを、14-15年秋冬ウィメンズを彷彿とさせるヒップホップスタイルに組み込んだ。さらに“あの”ブランドを思わせるオレンジには、「モスキーノ」のMなどをモノグラムに仕上げて、これまた別の“あの”ブランドのアイコンのように見せたモチーフを大胆に加え、ラグジュアリーとスポーツ、そしてユーモアを交差させる。あまりに有名なブランドへの挑発とも思えるスタイルが次々登場するせいか、見ているこちらが逆にドキドキしてしまう――。そんな洋服だ。

無駄にドキドキすることなく、純粋に楽しめるのは、序盤。スマイルマークに各国の国旗をのせたり、その国旗モチーフをハイブリッドしたりのアイテムが揃う。イタリア国旗を背中に、アメリカの星条旗を前身頃に、そして日の丸を袖に持つカーディガンは、見ているこちらまで笑わせてくれるハッピーなアイテムだ。