2020年春夏ミラノメンズ ド派手なネオンカラーで彩る80’sポップカルチャー

「ディースクエアード(DSQUARED²)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、1980年代のアメリカンポップカルチャーに着想を得た。舞台はニューヨークのアトリエ。モデルをシューティングしているカメラマンや、マッチョな男性をモデルに絵を描く画家の間を、ネオンカラーのカモフラージュ柄セットアップをまとったモデルが駆け抜けてゆく。当時活躍したアーティストたちにインスパイアされ、アイコンのテーパードデニムにはペンキを叩きつけたような加工を施した。キャンベルスープの缶詰やマリリン・モンローのイラストをパロディしたTシャツ、「ANDY」のロゴを配したスウェットなど、アンディ・ウォーホルのオマージュもたっぷりだ。
「80’s」「POP」「ART」といったグラフィティをのせたまばゆい蛍光ピンクやライムグリーンのアウターが、華やかな80’sスタイルを印象付ける。ステンカラーコートのポケットにはカラフルなシームテープを飾り、ベーシックなアイテムにもポップなアクセントが満載だ。オーバーサイズのシャツにワイドショーツ、「コンバース」風の厚底スニーカーを合わせるスタイルは、ヒップホップカルチャーを反映したもの。フィナーレに登場したデザイナーのディーン&ダン・ケイティンも、ネオンカモフラージュのジャケットにピンクのスリッポン姿でランウェイに登場した。

「モスキーノ(MOSCHINO)」のメンズが2020年春夏シーズン、ロンドンにやってきた。会場には、4ヵ月前のウィメンズ・コレクションで発表した、「マクドナルド」のフライドポテトをパロったiPhoneケース持参の若者が大集合。会場の後方から一生懸命に手を伸ばし、ショーの様子を携帯電話におさめようとしている。「モスキーノ」が、わずか半年で彼らのITブランドになったことを印象づけた。
20年春夏メンズも、パロディでいっぱいだ。一番驚いたのは、数々の有名ブランドのアイコンをパロった洋服の数々。たとえば、今シーズンのキーモチーフであるスマイルマークは、それぞれを90度傾け、2つの口をアルファベットのXを描くように重ねることで、“あの”ブランドのアイコンのように!!それを、14-15年秋冬ウィメンズを彷彿とさせるヒップホップスタイルに組み込んだ。さらに“あの”ブランドを思わせるオレンジには、「モスキーノ」のMなどをモノグラムに仕上げて、これまた別の“あの”ブランドのアイコンのように見せたモチーフを大胆に加え、ラグジュアリーとスポーツ、そしてユーモアを交差させる。あまりに有名なブランドへの挑発とも思えるスタイルが次々登場するせいか、見ているこちらが逆にドキドキしてしまう――。そんな洋服だ。

無駄にドキドキすることなく、純粋に楽しめるのは、序盤。スマイルマークに各国の国旗をのせたり、その国旗モチーフをハイブリッドしたりのアイテムが揃う。イタリア国旗を背中に、アメリカの星条旗を前身頃に、そして日の丸を袖に持つカーディガンは、見ているこちらまで笑わせてくれるハッピーなアイテムだ。